傳田先生との一番の思い出、
それは、2008年10月14日、ラフォーレ修善寺のロビー近くでの傳田先生との会話です。
修善寺ワークショップの2日目、お昼休みも終わり、午後のセッションに入る直前のことでした。
傳田先生から呼び止められ、突然、「西田さん、来年、2009年のICEPの委員長をやってください。」
と言われた時のことです。
ICEP2009は、翌年の春に開催されます。開催日まで、既に半年を切っていました。折しも、1ヶ月前の9月の中旬に『リーマンショック』の勃発が報じられており、翌年からの大不況の到来が危惧され始めていた時の急なオファーでした。「とても、私には無理です。」と丁重にお断りしましたが、「やってくれる人は、あなたしかいない。あなたがやってくれないと、ICEPの火が消えてしまう。」と、懇願されました。
ICEP開催予定の翌年の4月14日まで、残り172日、5ヶ月と13日、この日から、私の新しいモードの生活(苦悩の毎日)が始まりました。まだ、開催する会場も決まっていない、完全なゼロからのスタートでした。
思えば、これが傳田先生との、対面でのお話ができた、最後の機会でした。
半年弱の間、(傳田先生が、びっくりするようなICEPの実現を、、、、)と、工夫を凝らし、今までやってなかった、都心から飛び出した地での開催、プロモーション・ポスターの作成、工場見学会/エクスカーションの企画・検討、次にバトンを渡す1年半後のICEP2010の委員長の早期からのノミネートと、自分が(こうあって欲しかった、、、)と思いつくこと全てに着手しました。
翌年、会場も『京都国際会館』に決まり、発表論文の数も確保でき、なんとか実施に漕ぎ着けました。
この成果を、傳田先生に是非とも、見て頂きたいと、大会にご招待したのですが、「私は、もう身体が言うことを聞いてくれません。遠出はとても無理です。勘弁して下さい。」とのことで、ご参加していただくことは、叶いませんでした。
正直、とても残念で、泣きたい思いでした。その後、傳田先生は、介護施設に入られたとお聞きしました。忘れられない思い出です。
西田 秀行(にしだひでゆき)
日本IBMに30年間勤務、産業用電算機の回路配線板、フリップチップ実装を主体としたLogic Device, Memory Deviceの実装技術、液晶ディスプレイのベアダイ実装技術(Chip on Glass)などの実装/生産/製品技術開発に従事、
日本IBM退社後、韓国Samsung電機(Korea赴任で2年間勤務);有機基板上への微細Bump形成技術開発に従事、
Samsung電機退社後、現在に至る。
長野実装フォーラム理事、エレクトロ二クス実装学会、スマートプロセス学会、日本実装技術振興協会、IMAPS、C-NEST会員